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川下りお知らせ

 世界の大河を下る    
 1987  51歳  セーヌ川(フランス)
1988 7月NHK衛星放送開局記念番組
「セーヌ川下り」放映
インタビュアー 岸 恵子女史

1987 8/23  週刊読売
カヌーで下った/セーヌ川1600キロ
絵画印象派の足跡を訪ねる。
源流から河口まで
                  

自然と文明の妙なる調和、セーヌ   麻生花児
これまでの川下りに比べて、今回はやや冗談まじりでしたが、冒険というより文化事業であると思っていたんですね。自然を見つめ、それを現実にとらえた印象派の画家たちの足跡を訪ねるのが主な目的でしたから。しかし、やはり川下りは文化事業ではありませんでした。常に予期せぬことが起きるのが自然であり、セーヌ川もまた豊かな大自然であることを実感しました。
四十年ぶりという大水に上流部できりきり舞いさせられ、七分以上いると死ぬという冷たい川の中に、たびたびほうり出され、森の中にあふれた水路に迷い、炎天下を十時間以上も漕ぎ続けるといった、予想以外の体験をしたのです。
でも、その苦しみがあるからこそ、自然を肌で味わい、生きていることの喜びを知るのです。これに勝る創作の糧はないと思います。
セーヌ川は、日本の川に比べると多彩な表情を保っている川ですね。例えば、広大な野原や森の中を抜けると、パリのようなソフィスティケートされた文化豊かな都市に入る。そこから、田園都市、中世の城がある町を流れて、ドーバー海峡へと下るわけです。
セーヌは自然の中で、そして人間の暮らしの中で息づいていることを、今回の川下りで深く感じました。(談) 
 1987年8月23日 週刊読売 記事より 写真:KAJI ASO STUDIO